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北の我が家

2013 北海道滞在中の些事片々

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  • 05/02/10:30

To be, or not to be.


「北の我が家」 がある日高地方は、
沙流川から襟裳岬まで100㎞の海岸線を持っている。
襟裳岬を回り込んで、広尾町の十勝との境界までが日高だから、
その海岸線はゆうに100㎞を超える。
襟裳岬まで至近の距離の様似まで、海岸線をJRの日高本線が走っている。

8月の2・3日は、
様似で 「アポイの火まつり」 が開催されるというので行ってきた。
標高810m、アポイ岳の山頂の祭壇で天を焦がさんばかりに火を焚き、
鹿の豊猟をカムイに祈ったというアイヌの伝承に由来する祭りだ。
この言い伝えを再現するために開催されるのが
様似最大のイベント 「アポイの火まつり」。
アポイ山麓での厳粛な採火式に始まり、エンルム岬に浮き上がる火文字、
アポイ太鼓やねぶたパレードなど、多彩なイベントがまつりを盛り上げる。

ところが私には、祭り見物の前に昨年来の宿題があった。
アポイ岳登山だ。
アポイ岳は、軽装備で楽しめる比較的登りやすい山だが、
登山口は海岸線から1㎞ほど内陸の標高80mのところにあり、
中こう配を700m以上登るため、それなりの体力が必要とされる。
昨夏、登ろうかと思いながら登る自信がなかった。
登るだけなら登れるだろうが、
登ったら降りてきて、それで初めて登山した、と言えるのだから。

5合目の山小屋付近から森林限界となり、
ゴツゴツとしたかんらん岩の露地にハイマツ帯が広がり、
色とりどりの高山植物もこの辺りから目立つようになる。
800mの低山でありながら高山植物が咲くのは、
日高を始め、太平洋岸に特有の海で発生するガス(海霧) のせいだ。
ガスがもたらす低温が高山植物を育てるのだ。

2日は天気が良かったので眼下に広がる太平洋のパノラマや、
馬の背から望む日高山脈なども楽しめたはずだが、
実際はそうもいかなかった。
バテバテで、周囲を見渡す余裕などなかったのが実情だ。
この数年間、400m前後の四王司山にしか登ったことがない。
800mといえば、その倍だ。

八合目までは登った。
そこからアポイ岳山頂までは時間にして30分の直登だ。
登ろうとすれば山頂を極めることはできそうだ。
しかし登り切った時点で、体力は底をつく (だろう)。
年老いて、自分の体力は自分が一番知っている。
しかし、
今夏、登頂をあきらめれば二度とチャンスはないかもしれない。
迷った。 大いに迷った。
To be, or not to be : that is the question.
登頂を為すべきか、為さざるべきか。

決断した。
登頂を断念して、八合目で引き返した。
引き返したことを悔いることになるのかな‥‥、と思いながら。
5合目の山小屋から馬の背までは胸突き八丁の急坂だった。
ガレ場の、苦労して登った道を下る。
下り始めて間もなく、左脚に痙攣が来た。 続いて右脚にも。
足を騙し騙し下って、山小屋で30分ばかり横になった。

登山口から五合目の山小屋までは、登りで1時間15分。
下りなら1時間もかからないところを、
休憩所のベンチでは必ず、短時間でも体を横たえたから、
1時間半くらいかけて登山口に辿り着いた。
仮に、登頂して体力を使い切っていたら、
時折痙攣に襲われる足で、登山口まで辿り着けたろうか。

アポイ山荘の露天風呂で下半身を癒し、
アポイの火祭りを見物することはあきらめて
「北の我が家」 に戻った。
八合目で引き返したのは、
登山者に求められる 「引き返す勇気」?

翌朝にはパークゴルフに出かけたから、私もタフ、と言えばタフだ。
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