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北の我が家

2013 北海道滞在中の些事片々

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  • 10/20/23:00

To be, or not to be.


「北の我が家」 がある日高地方は、
沙流川から襟裳岬まで100㎞の海岸線を持っている。
襟裳岬を回り込んで、広尾町の十勝との境界までが日高だから、
その海岸線はゆうに100㎞を超える。
襟裳岬まで至近の距離の様似まで、海岸線をJRの日高本線が走っている。

8月の2・3日は、
様似で 「アポイの火まつり」 が開催されるというので行ってきた。
標高810m、アポイ岳の山頂の祭壇で天を焦がさんばかりに火を焚き、
鹿の豊猟をカムイに祈ったというアイヌの伝承に由来する祭りだ。
この言い伝えを再現するために開催されるのが
様似最大のイベント 「アポイの火まつり」。
アポイ山麓での厳粛な採火式に始まり、エンルム岬に浮き上がる火文字、
アポイ太鼓やねぶたパレードなど、多彩なイベントがまつりを盛り上げる。

ところが私には、祭り見物の前に昨年来の宿題があった。
アポイ岳登山だ。
アポイ岳は、軽装備で楽しめる比較的登りやすい山だが、
登山口は海岸線から1㎞ほど内陸の標高80mのところにあり、
中こう配を700m以上登るため、それなりの体力が必要とされる。
昨夏、登ろうかと思いながら登る自信がなかった。
登るだけなら登れるだろうが、
登ったら降りてきて、それで初めて登山した、と言えるのだから。

5合目の山小屋付近から森林限界となり、
ゴツゴツとしたかんらん岩の露地にハイマツ帯が広がり、
色とりどりの高山植物もこの辺りから目立つようになる。
800mの低山でありながら高山植物が咲くのは、
日高を始め、太平洋岸に特有の海で発生するガス(海霧) のせいだ。
ガスがもたらす低温が高山植物を育てるのだ。

2日は天気が良かったので眼下に広がる太平洋のパノラマや、
馬の背から望む日高山脈なども楽しめたはずだが、
実際はそうもいかなかった。
バテバテで、周囲を見渡す余裕などなかったのが実情だ。
この数年間、400m前後の四王司山にしか登ったことがない。
800mといえば、その倍だ。

八合目までは登った。
そこからアポイ岳山頂までは時間にして30分の直登だ。
登ろうとすれば山頂を極めることはできそうだ。
しかし登り切った時点で、体力は底をつく (だろう)。
年老いて、自分の体力は自分が一番知っている。
しかし、
今夏、登頂をあきらめれば二度とチャンスはないかもしれない。
迷った。 大いに迷った。
To be, or not to be : that is the question.
登頂を為すべきか、為さざるべきか。

決断した。
登頂を断念して、八合目で引き返した。
引き返したことを悔いることになるのかな‥‥、と思いながら。
5合目の山小屋から馬の背までは胸突き八丁の急坂だった。
ガレ場の、苦労して登った道を下る。
下り始めて間もなく、左脚に痙攣が来た。 続いて右脚にも。
足を騙し騙し下って、山小屋で30分ばかり横になった。

登山口から五合目の山小屋までは、登りで1時間15分。
下りなら1時間もかからないところを、
休憩所のベンチでは必ず、短時間でも体を横たえたから、
1時間半くらいかけて登山口に辿り着いた。
仮に、登頂して体力を使い切っていたら、
時折痙攣に襲われる足で、登山口まで辿り着けたろうか。

アポイ山荘の露天風呂で下半身を癒し、
アポイの火祭りを見物することはあきらめて
「北の我が家」 に戻った。
八合目で引き返したのは、
登山者に求められる 「引き返す勇気」?

翌朝にはパークゴルフに出かけたから、私もタフ、と言えばタフだ。
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北海道一周の小旅行


26日の土曜日から、5泊6日の小旅行に出かけた。
 新冠~襟裳岬~十勝池田~釧路~知床峠~網走~能取岬
 ~宗谷岬~利尻島~増毛~小樽~余市~千歳~新冠
出発点と終点が北海道内の新冠だから小旅行だが、
この旅の出発点が下関だったら大旅行となるところだ。

襟裳岬は、日高地方に2ヶ月滞在するとなれば
一度は訪れて表敬訪問すべき場所だ。
池田のワイン城では町民パーティがあるので、
町内在住者ではないが押しかけ参加の許可をいただいたのだが、
悪天候でキャンセルした。
毎年一度は訪れて、毎年1個ずつ、
卓上に置くワイン人形を買い足すのも目的だったが、
めぼしい人形はなくなっていた。
初日の夜は、釧路で車中泊。
釧路の岸壁炉ばたの金券が残っていたので、
残りの金券の倍以上を駆って、すべてを使いきった。

2日目は根釧台地を横切って標津へ。
朝からの霧で、国後島の影も見えずに知床峠へ。
知床峠も展望ゼロ。
小清水の温泉に浸かって、網走へ。
ラグビー合宿中のコカコーラWを見物・応援して
居酒屋・蒸気船へ。
昨夏訪れて、
「一年経ったらまた来る。 覚えておいてね」 と言ったのに、
蒸気船の大将は私を忘れていた。
それでも次第に思い出した様子で、気を遣ってくれた。
カウンターで同席した埼玉からの客と仲良くなり、
その客の知人を呼び出して、その知人とも仲良く飲んだ。

翌朝は能取岬灯台を訪れた。
350余基訪れた日本の灯台の中で一番好きな灯台だ。
この灯台を見ないわけにはいかない。
その後、ラグビー合宿中の
コカコーラW vs 神戸製鋼の練習試合を観戦。
日の出岬温泉で入浴。
雄武の道の駅で車中泊。

枝幸~浜頓別と走っていたら、
急に利尻富士を対岸から望みたくなって抜海へ。
猿払~兜沼へと、オホーツクから日本海へ宗谷半島を横断だ。
しかし、抜海から利尻島は見えない。
だったら利尻島に渡ってしまえ!
最終便の最北航路で利尻島・鴛泊へ。
流石に、SARAY 号は一泊2000円の駐車場に置いていく。
夢海と書いて 「むかい」 と読む宿に泊まって
翌日は半日観光バスで利尻島を一周。
その前に、鴛泊灯台まで、約80mのペシ岬を登る。
利尻富士をバックにすると、ひときわ映える石埼灯台は、
観光バスの観光ポイントにはなっていないから、パス。
いい灯台なのに。
利尻富士は一旦姿を隠したが、また姿を現して、
辛うじて家人の期待に応えてくれた。

鴛泊から稚内に戻り、初山別の道の駅で車中泊。
これまで2度・3度と車中泊を試みて、
どうも波長が合わない道の駅だったが、今回はすんなり。

最終日は、
初山別~留萌~増毛~雄冬岬~石狩河口橋~小樽~余市と走った。
増毛では、最北端の醸造所で作られる清酒 「国稀」 を買うため。
小樽は、家人が好きな北一硝子に寄るため。
余市は、息子にニッカの原酒を買うため。
その後、千歳の空港の売店で早々とお土産を買い、
鵡川の道の駅の温泉に浸かってから帰宅。

あまり疲れてもいないから、
今朝は7時からパークゴルフに行って来た。
明日は、様似のアポイ岳に登る予定だ。
標高810m。 大丈夫かいな。

ミニ北海道一周


新ひだか町静内に1か月滞在した昨夏もそうだが、
新冠に2か月滞在する今夏は、
当然のことながら北海道新聞を定期購読している。
北海道新聞は、いわゆる 「地方紙」 だが、
地域と密着して、内容の濃い新聞だ。
私は、そんなにあちこちの地方紙を知らないが、
北海道新聞はいい新聞だと思う。
下関に、北海道新聞のような地方紙があれば、
私は朝日をやめて、その地方紙を定期購読するだろう。

考えるに、
北海道という、地方紙の対象地域の広さが適当なんだろう。
札幌という極があり、適当に地方の中心都市があり、
圧倒的に広い過疎の地方がある。
「北海道という立憲君主国」 を築けるスケールなのだ。

地域情報の太さと多様さを売り物とする北海道新聞で、
十勝・池田の十勝ワインが、
池田のワイン城で、ワインパーティを開くと報じていた。
私は気付かなかったが、家人がちゃんとフォローしてくれていた。
そのパーティは町民パーティらしいが、
下関に住む十勝ワインのファンがそのタイミングで池田に行く、
と言って参加を申し込んだ。
それが26日だ。

せっかく池田まで出かけるなら、
先般、釧路の 「岸壁炉ばた」 で使いきれなかった金券があるから、
釧路まで行くことにした。
しかし、その時期は、網走で、
日本ラグビートップリーグの各チームが合宿を行っている。
だったら、
コカコーラWや神戸製鋼、パナソニックの練習試合も見ようか、
となる。 網走滞在は2日間だ。
居酒屋「蒸気船」 の大将に再会できるのも楽しみだ。

網走まで行けば、稚内は近い。 近くなくても遠くはない。
国内ツアーで網走から稚内まで走るのは辛いが、
道内に居住していればさしたる問題は、無い。
そこで、稚内からの利尻島観光をすることにした。

帰路に余市のニッカの工場を訪ねても、一週間で新冠に帰り着く。
旅程からすると 「ミニ北海道一周」 だ。
計画時点では、全て車中泊だ。
増毛には、日本最北端の日本酒醸造所があるから、
久留米にいる日本酒愛好家に1本買って帰ろうか。

夏祭り


北部九州などでは梅雨が明けたという。
タイミングを同じにして、ここ新冠でも夏の訪れを告げる
「にいかっぷ ふるさと祭り」 が開催された。
津波時の避難場所になっている海岸の氷川神社の祭りだが、
19日が宵宮祭り、20日が本祭りだ。
神輿が練り歩き、新冠判官太鼓などが披露されたが、
呑兵衛には二夜連続のビアガーデン詣で、だ。

昨夏の静内での祭りもそうだったし、
今夏の三石の蓬莱山まつりでもそうだったが、
新冠のふるさと祭りを含めて、
北海道の祭りは内地の祭りとはまったく質を異にする。
広場にビールケースを並べ、板を渡してテーブルといすを造り、
周りを取り巻く出店から飲み物や食べ物を買ってきて、
家族や知り合いの単位で酒宴を始める。
中には、小学校の運動会さながらに、
寿司や揚げ物などを重箱ならぬパックに詰めて、
そのパックも6個や7個を並べて囲む家族もいる。

私が連想したのは、
中央アジアの街で夜毎、星空の下で繰り広げられる屋台バーが、
二日間の期限付きで出現した、かのような‥‥。
豚肉が焼かれて焦げる匂いが広場に充満しているのも似ている。
北海道の祭りには長い伝統はないけれど、
祭りに集まる人の数と盛り上がりは物凄いのだ。
新冠町は世帯数2700戸、総人口5700人の小さい町だが、
お祭り広場には、総人口の三分の一は集まっていようか。
そういえば、北海道と中央アジア、
気候も風土も共通する部分があるような‥‥。

こうなると、近隣で行われる祭りには悉く顔を覗かせなくっちゃ。

陸自の祭り


19日には、隣町の陸自静内駐屯地で、
駐屯地創設50周年・第7高射特科連隊創隊33周年の記念行事があり、
対空射撃訓練が公開されるので見に行ってきた。

静内がある新ひだか町は、
「涼夏小雪の郷」 がうたい文句で、「優駿桜国」 を名乗っている。
軽種馬の育成と日本一の桜並木の街だが、
馬と桜の街のほかにもう一つの顔がある。 怖い顔だ。

静内駐屯地の対空射撃場では、
全国の陸自高射部隊や航空自衛隊から年間延べ3万人が参加し、
短SAM(短距離地対空誘導弾)や近SAM(93式近距離地対空誘導弾)、
ヘリからのAAM(空対空誘導弾)、
PSAM(携帯地対空誘導弾)などのミサイル実射訓練、
87式自走高射機関砲訓練などを実施しており、
全国の対空実射訓練の中心地して重要な位置を占めているのだ。

記念行事は、隊員の入場行進から始まった。
北朝鮮などの整然とした行進を見慣れていると、
陸自隊員の行進は何とも野暮ったいが、
第2次安倍政権誕生までの平和国家なら、これでよかったのだろう。
祝賀式と対空射撃訓練までの場つなぎは陸自第7音楽隊の演奏だ。
彼らの演奏は、
ついこの間 「みついし蓬莱山まつり」 で聞いたばかりだが、
陸自にとって新ひだか町は大切な町なのだろう。

昨夏は、87式自走高射機関砲の
オッたまげる発射音と、砲煙、火薬臭に驚いたものだが、
二度目の今年はそれほどでもなかった。
昨年は訓練海域に妨害の船舶が侵入したとして中止された、
短SAM(81式短距離地対空誘導弾) の対空射撃も、
今年は高速標的機を飛ばして行われた。
安倍政権が暴走する果ては、
これらの火器・兵器を訓練だけではなく実戦で使う方向だから、
何とも空恐ろしく、暗然としてしまう。